学術講演

学術講演

青木 一真 氏(富山大学学術研究部理学系)

地球温暖化から観た山岳環境の未来

 地球温暖化の影響で夏は酷暑、冬は大雪と本当に温暖化なのかと疑う人もいらっしゃるでしょうか。2021年に発行されたIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change: https://www.ipcc.ch)の第6次報告書(AR6)は、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がなく、それらが広範囲かつ急速な変化が現れている。」と報告した。この報告書後の2021年ノーベル物理学賞は、地球温暖化研究で真鍋先生が受賞されたことは、同分野の研究者としては、大変うれしいことであった。地球の歴史を考えると一瞬の出来事であるが、未来に負の遺産を残すことは確実であるし、現在も様々な自然災害などがおこっているのが現状である。例外なく、山岳環境にも影響が出ていることは、みなさまも登山して実感していることでしょうか。富山大学は、標高2839mの立山・浄土山南峰山頂に立山施設(http://skyrad.sci.u-toyama.ac.jp/Tateyama/)を有し、大気・雪氷、動植物の生態などの教育・研究を行っている。また、標高2450mの立山・室堂平では、秋から春まで降り積もった約6mの積雪調査を行い、大気・雪氷環境、積雪中の微生物などの研究を行っている。このように最近は、大学の山小屋の管理人もしていることもあり山の研究者と思われることが多いが、本業は「雲や大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)の気候影響」について、極域から熱帯、海から山まで世界中を飛び回り、地球観測衛星を利用した宇宙からと地上の両方から地球を観測している。本講演では、立山をはじめとする山岳での教育・研究活動や地球温暖化研究の経験から、地球温暖化から見た山岳環境の現状から未来まで、お話しできればと思う。

略歴

1969年 東京生まれ、北海道育ち
1994年 東京理科大学理学部第二部物理学科卒業
1997年 北海道大学大学院地球環境科学研究科修士課程修了
2002年 北海道大学大学院地球環境科学研究科博士後期課程修了(博士(地球環境科学))
2002年 富山大学教育学部・講師
2005年 富山大学理学部地球科学科・助教授
2011年 東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門・客員准教授(2014年〜客員教授)
2014年〜 富山大学大学院理工学研究部・教授(現在:学術研究部理学系・教授)
2020年〜 富山県山岳遭難協議会理事

(大気物理学研究室:http://skyrad.sci.u-toyama.ac.jp/Aoki_lab/)